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第1夜 

 真夜中の3時。

 人気のない街を歩く2人の少年少女がいた。

 少年が先頭に立ち、堂々と歩いている。

 そして少年の後ろには、頭まで深くフードをかぶった少女。

 少年はふと足を止め、少女のほうに体を向けた。

 少女もそれに気づき、足を止め、じろっと少年を見上げる。

 少年の身長は少女の身長より、10㎝位の差があった。

 少年はうんざりした顔をして、少女を見下ろした。

 「あのな聖。そんなフードかぶらなくてもさ、人は誰もいないんだし、堂々と歩けよな」

 「・・・・で、でも、分からないじゃない。実はこっそり私達の後をついてきてるとか・・・そういうことだってあり得るでしょ?兄さん」

 「あのなぁ・・・・いくら外国だからって舐めんじゃねーよ。外国を!!」

 どうやらこの2人は兄妹のようだ。

 「舐めてないよ。私は兄さんを心配して――」

 「いい加減にしろ」

 兄はギロッと妹を見下した。

 「何が心配してだ。俺はもう19歳だし、もう大人だ。お前みたいなちっぽけな奴に心配される筋合いなんてねーよ」

 兄はそう言って。さっさと行ってしまった。

 妹はその場で立ち尽くしていた。

 目にはかすかに涙を浮かべ、小さく叫んだ。

 「兄さんの馬鹿。もう私、知らないから」

 妹――聖は、兄とは正反対の道を歩き始めた。

 

 
 聖は、いつのまにか街の中を彷徨い歩いていた。

 ずっとこのまままっすぐに行けば、きっと街から出られると思ったはずなのに・・・・。

 まさかの迷子!?

 聖ははっとした。

 忘れていた。自分がとても迷子体質ということを・・・。

 聖は夜空を見上げた。

 満点の星空。

 ♪~♪~♪~♪~♫♪♩~♩~♪~♪~

 遠くの方から子守唄が聞こえた。

 とても悲しい、子守唄。

 子守唄なはずなのに、何だか眠くなるどころか、悲しくなってきた。

 「兄さん・・・・」

 私達が外国に来た理由は、1つ。父親を捜しにきた。

 母は去年にこの世を去り、父は外国へ出張に行って以降、まったく日本に帰ってこなかった。

 父は一体何をしているのか?そして、体の調子は大丈夫なのか??

 それを心配した私と兄さんは、外国・・・・イギリスにやってきたのだった。

 噂では、この街にいたという情報を聞いたので、私達はここにやってきたのだけど・・・・。

 聖はため息をついた。

 3日この街にいるのだが、一向に父を見つけられる気配がない。

 逆に、私達が食べる食糧が減る一方だった。

 そして今日、ついに食料は、なくなった。

 だから倒れるのも時間の問題。

 今日中に何とかして早く日本に――。

 「ぐわあああああああ!!!!」

 「!?」

 聖ははっとした。

 向こうの方から、男の叫び声がした。

 何があったの???

 聖は東のほうへ、走りだした。

 確か、こっちのほうだったはず・・・・。

 そして、あるものを見つけた。

 道に横たわる男。

 背中には大きな穴があき、血だまりができていた。

 脈を測ったが、脈はなかった。

 「一体誰が??」

 「聖・・・・」

 後ろから声がした。

 後ろを振り向くと、そこには兄がいた。

 兄の白いTシャツにはべっとりと血が付着していた。

 「・・・・・・兄・・・・さん??」

 聖は少し気になったことがあった。

 それは兄の顔だった。

 兄の顔は真っ青で、口は不気味ににやりと笑っている。

 「どうしたの?兄さん」

 「・・・・オ・・・・マエ・・・・殺・・・ス」

 「へ?」

 兄が懐から出したのは・・・・・鉈。

 鉈にはべっとりと血が付いている。

 「まさか・・・兄さんがこの男を??」

 「ソイツ・・・ハタダノ男・・・ジャナイ。父親ダ・・・・・」

 「!!」

 まさか!!

 聖は死んだ男の顔を近付いてみた。

 ・・・・・・確かに私達の父親だった。

 ショックだった。

 何故、兄は父を殺したの??

 あんなに優しかった兄さんが・・・・兄さんが!

 『その調子ですよ♥早川蓮君♥』

 兄の背後から、男が現れた。

 シルクハットをかぶり、人を飲み込めるくらいの大きな口、でっぷりとした腹。

 男は兄に近づき、頭をなでなでした。

 「誰――??」

 私は男に話しかけた。

 男はこちらを見て、「あぁ!」と叫んだあと、聖に近寄った。

 「君が蓮君の妹ですね♥初めまして♥我輩は、“千年伯爵”」

 「千年・・・・・伯爵・・・・?」

 「そうデス♥妹さん、貴方は生き返らせたい人間がいますカ♥」

 「生き返らせたい人間??」

 「そう♥我輩は、その人間達を生き返らせることができるのです♥あの禍々しい、神の手から彼らを救うのです♥」

 「・・・・・・か、母さんも生き返ってくれる??」

 「ハイ♥我輩ならできマス♥」

 私は、心の底からうれしく思った。

 「ほ、本当に母さんも・・・・・」

 お願いしますと言おうとした時だ。

 『止めてください!!!!』

 向こうから軽快に走ってくる少年2人と少女1人。

 「・・・邪魔が入りましたね♥」

 走ってきたのは、黒いコートを着た人達。

 「我輩の邪魔をするんですか♥エクソシスト」

 「エクソシスト・・・・・?」

 「邪魔をしているのは、伯爵。貴方だ」

 白い髪をした少年は伯爵を睨んだ。

 「我輩は何もしてませんよ♥ただ、手助けをしているだけデス♥」

 「それと、そこにいるアクマは僕が破壊しますよ」

 白髪の少年が指をさしたのは、私の兄。

 私は驚いて兄をみた。

 「兄さんはアクマなんかじゃないわ」

 「アレン、どうやらあの子はアクマの兄の妹らしいさ」

 もう一人の赤毛で眼体の青年は私をちらっと見た。

 「だそうですね。彼女はアクマではないですか・・・」

 その時だ。
 
 伯爵は行動に移した。

 伯爵は、兄の背後に立ち、自分が所持している傘をばっと開いた。

 「さぁ、我輩のアクマちゃん、妹を殺しなサイ♥」

 兄は私を見ると、にやりと笑ったあと、ぶるっと体が震えた。

 その瞬間、兄の体がはじけ、機械のようなものが兄を包んでいく。

 「!!!!」

 そして、見事に、怪物と化した。

 に。兄さんが・・・・。

 怪物に!?

 

 はい、第1話終了です。

 次回も頑張ります。


 

 
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HN:
黒闇
年齢:
30
性別:
女性
誕生日:
1994/12/25
職業:
中学3年生w
趣味:
絵を描くこと、小説書くこと
自己紹介:
黒闇(クオン)といいます。

好きなマンガ:Dグレ、銀魂

好きなキャラ:アレン、ラビ、銀さん、沖田

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